インドの医療技術

まーなおみは入院中、あれこれしてもらった覚えがないのだが、そのことを訴えたところ

あなたはそのまま何もせず寝てた方がいい。そして沢山食べなさい。


という指示だった。
そして傷の消毒もせず、血が付いたままの状態で何日も置かれた。
もちろん毎日ドクターの回診はあった。検査もした。
でも特に治療はなかった。
薬も1日2個だけ。あとは、なおみがあまり食事をしなかったために点滴を打たれていたのみ。

でも食べ始めたらすぐに良くなり、ある日突然ベッドの上にかさぶたがごっそり落ちていて、鏡を見たら傷跡が目立たない程度に治っていた。
逆になおみがひっしに消毒したり、薬を付けていた手首は治りが悪く、傷跡も残った。


登山家の栗城くんが先だってエベレスト登頂を目指していたが、途中天候悪化で戻って来た。酷い凍傷と共に。
早く日本に帰って治療をしなければ、と戻って来たら、指を切断しなければならないという。そうなるともちろんエベレストのような山には登れなくなる。
そこでどこかの誰かが「インドは凍傷治療の最先端技術があるので行ってみてはどうか」と教えてくれたそうで、今インドで治療を受けているそうだ。

インドは医療ビザだか治療ビザだかがあり、治療の為に来る外国人も多いらしいということを知った。

なおみも非常に貧困層の方々が来る病院ではあったけど、ドクターも当たり外れはあるけど、治療の考え方というか、医療に大しての考え方は日本よりも納得出来た。
人間の治癒力を一番に考えているような気がしたし、必要以上に薬の与えないところも良かった。

日本にいると薬を飲まなきゃとか注射を打たなきゃとか手術をしなきゃ、とか思うけど、本当は必要なかったこともあるんじゃないかと思う。


ジャイサルメールでジェームズ(仮名:日本人男子26歳)が高熱を出したときも、本人はマラリアで死ぬ!!ってパニックになってたけどインド人は誰1人として慌てず、ドクターのところに行っても「マラリアではこういう状態にはならない」とはっきり断言。そして注射一本打って終わり。
薬はあれこれ処方箋に書かれていたけど、ほとんどが「しばらく食べれないだろうから水分や栄養を補給するもの」と「痛み止め」だけだった。
不安になってるジェームズのために一応マラリアチェックをしたけど。
で、2日くらい「よくならないよくならない、治らない」とジェームズが悶々としているので、朝、部屋に行ったら薬の袋がそのままになっていて。
「ジェームズ、薬飲んでるの?水は?」
というのと何も口にしていないという。
口にすると下痢になるから嫌だと。
でも多分下痢して中のもの出すのも治療の一環のように思うんだよね。
「無理してでも飲みなさいよ」
といって無理矢理飲ませた。
するとその晩には元気になって、食事が出来るようになっていた。

なおみは去年子宮筋腫の手術を受ける前にインドにきて、アーユルヴェーダの先生に相談しようとしたけど、たどり着かなかった。
アグネスに「もしかしたら手術しなくて済むかもしれないから、会社辞めてでもインドに行った方がいいのでは」と勧められた。
その時は「こんなに大きくなった筋腫だし、卵巣も腫れちゃってるし、もうどうにもならないし、子供も産むことはないからいいよ」と思ったけど。
そう言う問題ではなく、治療を前向きにとらえてみれば良かった。

まーでもこれからでも遅くはない。
もうどんどん年を取っていって、病気を抱えてくることになるのだ。
インドで病気にならないように、病気になっても人間力を発揮出来る治療をしてもらおう。